工房日誌

Posted on 2017-04-02
マッチ箱特集 Vol.2

9053先日、瀬戸内ブッククルーズの「小さな春の本めぐり」に参加しました。そのときに出店者仲間の「古本斑猫軒」さんが持ってきていたのが上の写真のマッチ箱。

古本斑猫軒さんはオンライン専門の古書店で(リアル店舗はありません)、通常はマッチ箱も販売していないのですが、「ちょっと面白いものが手に入ったので」と出品されたわけです。

僕はどうもマッチ箱を見ると、うずうずと心が疼いてしまう性格で、この日も休憩時間にあれこれと物色。気がつけば15個ぐらい買っていました。そこで今回、どういうマッチ箱を買ったのかご紹介しようと思った次第。ちなみに、Vol.2とあるのは3年ほど前にもマッチ箱特集をしているからですね。

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これはまず「珈琲」の文字にやられました。どうすればこんな大胆な造形を思いつくのか。それでいて反対面は白地の面積を大きく取り、店名は上品に小さく配置。清濁合わせ呑むような、恐るべきバランス感覚です。モノトーンの配色が店名の「白亜」にもマッチしていますね。

 

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かつて京都では有名な喫茶店だったようです。店名が「夜の窓」であれば、つい、「地色は黒で」と考えがちですが、紫にすることで醸し出された、しっとりとした情感。側面の「京宝劇場前を東入るとも申します」という添え書きも実にいい。マッチ箱は、この側面も見所のひとつだと思っています。

 

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60〜70年代のサイケ調の影響を受けていると思われますが、これもかなり大胆なロゴ。ロゴを作った人がマッチ箱もデザインしているのかは不明ながら、「ク」の下部分を側面にはみ出せるという発想にも唸ります。四角四面に収めないことによって、非常に自由な雰囲気が生まれていますね。

 

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地味ながら、これも上手いデザインだなと思いました。ランプを下から見上げる角度にして、左に余白を取る。すると、あたかも店の前にいるような気分になるんですな。裏面にはコーヒー・スパゲッティ・カレーの3文字のみ。多くの言葉はいらない。これだけで店に行きたくなります。

 

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ドライブインもめっきり減りました。徳島のこの施設も既に廃業の様子。ロードサイドに限っていえば、昔の方が華やかだったのでは、とすら感じさせます。マッチ箱だけに残された風景、手の届かない旅情。ただ、裏面の地図はかなり大雑把で、当時にタイムスリップしても辿り着けるか自信がありません。

 

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建物の外観をイラストで起したものも味わいがあって、僕は好きです。このドライブインも丸窓があったりして、往時の流行が偲ばれます。「集会室・御会合室 完備」とありますが、果たしてロードサイドでどんな会合が開かれていたのか。ちょっと気になるところではあります。

 

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小豆島の港にあった喫茶店のようです。名前から察するに、ひょっとするとカーフェリーの就航に合わせて出来たお店なのかも。写真をドンと使っているのもどこか誇らしげ。一方、反対面はチャーミングな手書き。晴れがましいけど、ちょっと照れ臭い。そんな心情まで勝手に読み取ってしまいます。

古本斑猫軒さんのマッチ箱、喫茶店やドライブインなどロードサイド好きの心をくすぐるものが多く、心憎いセレクトでした。ついでにここ数年、他のお店で購入したものもご紹介しましょう。

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ボウリング場のマッチ箱ですね。後に「アイビーボウル」と名前を変えるのですが、その時期に僕は何度かここで遊んだことがあります。客もまばらな中、会社の同僚と一緒に下手の横好きで投げていたら、白髪のダンディな支配人がふらりと現れて「君らにフォームを教えたるわ」と指導してくれました。それから程なくして、このボウリング場も閉鎖。個人的にはそういう思い出が甦るマッチ箱です。

 

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おそらく同じ建物の中に喫茶店と雀荘が同居していたのではないかと思います。サントロペはフランスの地名(Saint-Tropez)にあり、元々は聖トロペという殉教者にちなんでいるらしいです。雀荘に「聖」がつくのは憚られて外したのか。しかし、その場合、店名は「トロペ」となるはずですが、僕はやはり「ロペ」の方が短くて好ましいように思います。ヘビのように鎌首をもたげた「ぺ」の文字が魅力的です。

 

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最後に紹介するのはこちら。標準よりも小さめのマッチ箱ですが、それゆえに品があり、デザイン的にもオーセンティックな雰囲気があります。中箱にもゴールドの箔押しをして、なかなか凝ったつくり。2年前ほどに入手したものですが、僕があれこれといじっているちに、ご覧のとおり、外箱が壊れてしまった。ところが、それが新たな発見を生んだのです。

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なんということでしょうか。外箱の内側にも印刷が施されていたのです。しかも、外面とは反転されたものが。誰にも気付かれないであろう箇所になされたこの印刷、料金だって余計にかかるはずです。じつに粋な遊び心。いや、それだけでは収まりきらない、何か精神の自由さを感じさせます。

ともあれ、今回もポール工房の商品とは関係のない、個人的な趣味の話になりました。たぶん、また懲りずに書くと思います。ご容赦ください。
イベント告知などはFacebookページをメインに行っていますので、こちらをチェック頂ければと思います(ただ、当面はイベント出店の予定はありません)。以上、どうぞ宜しくお願い致します。

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Posted on 2015-05-18
ローマの古いスライド写真

OLYMPUS DIGITAL CAMERA先日、岡山県玉野市の451BOOKSさんに遊びに行きました。そのとき見つけたのが、このヴィンテージなパッケージです。さりげなく棚に置かれていたので一度は通り過ぎたものの、何かが心にひっかかりました。「これは一体何なのか」と。

パッケージを見ると「SOUVENIR」と「COLOR SLIDES」の文字。側面には、フィルムらしきものも覗いています。それでピンときました。これはローマの観光名所を写した、古いスライドではないかと。

それで早速購入したところ、これがなかなか面白いものだったので、今回ご紹介しようと思った次第。以前から手紙にこじつけて、ポール工房とは関係のないものもご紹介してきましたが、今回は手紙との接点すらありません。すみません。

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外装を開くとフィルムがずらりと現れます。予想通り、昔のローマのスライドでした。
全部で60枚あります。年代物ながら、思っていたより状態も良いです。

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ポジフィルムを1枚ずつマウントに入れ、それを透明ポケットに収納しています。
写真はどれも絵ハガキ的な雰囲気。でも、それがフィルムになっているところが今見ると新鮮。

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マウントには写真の説明文が付いています。
これはローマ近郊のティヴォリという町にあるエステ家の別荘。世界遺産です。
知った風なことを書いていますが、全然知りませんでした。

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マウントを開いたところ。ライトテーブルのような洒落たものを持っていないので、
iPhoneをライトテーブル代わりにして後ろから光を当てています(白い壁紙を表示)。
それを真上からデジタル一眼レフで撮影しています。苦肉の策です。
【追記】
iPhoneの上に厚めの透明なアクリル板を載せた方が、
ディスプレイのピクセルが写り込まなくてベターです。

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パッケージにはCOLORとありますが、退色のためか、
フィルムはどれも赤っぽい単色になっています(僕はこの退色も好きではありますが)。
ちなみに、この乳房がたくさん付いた女神像はアルテミス。

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撮影時期はどれも不明。ただ、反転した文字で「EASTMAN COLOR」とあります。
コダックがこのフィルムを発売したのが1952年らしいですから、少なくともそれ以降でしょうね。

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推測ですが、コダック社がPRも兼ねて、こういうスライドを作っていたのかもしれません。
写真はローマの建国神話に出てくるロムルスとレムス。狼に育てられたという話ですね。

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再び箱に戻ると、裏にはドルとリラの価格が併記。となると変動相場制に移行する以前のものかも。
世界各国が変動相場制に移行するのが1973年ですから、
50年代中盤〜70年代初めに作られたものでしょうか。こうして推測するのも楽しいです。

というわけでご紹介してきましたこの観光スライド、
日本ではあまり見かけないものだと思いますが(451BOOKSさんにあったのもこの1個だけでした)、
eBayなどの海外サイトで「SOUVENIR SLIDE」と検索すると色々見つかるかもしれません。

岡山の方にはお馴染みの451BOOKSさん、
zineなどのリトルプレスを始め、思わぬものが置いてあったりして目が離せません。
宣伝めいて恐縮ですが、ポール工房製作の「451ブックカバー」も販売中です
(最後にやっとポール工房と繋がりのある話になりました)。

ご興味のある方、ぜひ一度お店やサイトを覗いてみてください。

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Posted on 2015-02-23
アメリカのポストカード

OLYMPUS DIGITAL CAMERAポール工房では「Letters to Samuel」というレーベルでトートなどを作っていますので、ときどき手紙や郵便にまつわる話を書いています。今回取り上げるのはアメリカのアンティークなポストカードです。

上の写真はオレゴン州の「ブーンズ・エル・パド・モーテル」のもの。おそらくモーテルが客室のアメニティとして制作したものでしょう。撮影されたのは1950〜60年代だと思われます。

ちなみにモーテルとはMotorとHotelを組み合せた造語で、自動車で旅する人たちのためのホテルとしてアメリカを中心に発達しました。日本でも昔はモーテルと名のつくロードサイドのホテルがちらほらあったものです。

このエル・パド・モーテル、ハイウェイ沿いに存在したようですが、夜空に浮かび上る建物と看板がなんとも旅情を誘います。街灯の光りも美しくアスファルトを照していますね。ふと駐車場に目をやると、停まっている車はクラッシックカーと呼びたいものばかり。このあたりにも時代が感じられます。

ハガキのオモテ面にはモーテルの概要も記されています。ちょっと訳してみましょう。

AAA(注:アメリカ自動車連盟の略で、宿泊客が会員だと各種サービスを受けられる)
21部屋 無料ラジオ 電話 無料テレビ 清潔なベッド
新しくモダンで広々とした部屋、浴槽付きのタイル張りバスルーム、床一面のカーペット、近くにリクリエーション・エリア有り。ダウンタウンのショッピング街すぐ。

現在からすればとりたてて特徴のあるホテルではないでしょう。しかし、当時からすれば最新の設備だったのかもしれません。オーナーの誇らしげな顔が目に浮ぶようです。リクリエーション・エリアが具体的に何だったのかわかりませんが、僕の脳裏にはなんとなくビリヤード台の付いたバーが浮びます。

もし旅先の誰かからこんなポストカードで手紙をもらったら、旅情に駆られて思わず泊まってみたくなるかもしれませんが、残念ながらこのエル・パド・モーテル、現在は既に廃業しているようです。ポストカードの中にだけ存在する幻のモーテルなのです。

2015年2月23日(月)

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Posted on 2015-02-19
文具入れの巻き方

11959_DxO新作が登場したのかしら、と思われるかもしれませんが、これは既に発売中の文具入れです(文具入れの商品ページはこちら)。折り方がちょっと違うんですね。オンライン・ストアの写真では二つ折りにしていますが、これはクルッと巻いた状態。巻物みたいな感じになります。

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断面を見るとこんな感じ。三つ折りに近いです。
じつは最近、この巻き方を発見しまして、「ああ、こういうのもいいな」と思ったのです。
ひょっとすると、お客様の中にはすでに実践されている方もいらっしゃるかも。

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中身はペンが4本。あまり多いと、上手く巻けなくなりますが、
これぐらいの分量なら大丈夫でしょう。
逆に万年筆を1本だけ入れて、一本差しとして使うのもいいかもしれませんね
(多少だぶつく感じにはなります)。


そういうわけで、ひさしぶりの日誌になってしまいましたが、ちょっと近況報告です。
ポール工房のフリーペーパー、工房通信vol.2ができあがっています。
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ポール工房の通販をご利用頂いた方には、無料で同封しています。

また、この工房通信だけご希望される方にも無料でお送りしています(送料も無料です)。
こちらのご連絡フォームから、お名前・ご住所をご連絡ください
(予定数量に達しましたら終了しますのでご了承下さい)。

岡山県下の下記の店舗でも無料で配布しています。
古書五車堂(岡山市中区)
451BOOKS(岡山県玉野市)
古本ながいひる(岡山市北区)
ブルーベージュカフェ(岡山市中区)

それからもう一つ、ご報告があります。

ご好評頂いた道具入れと筆入れですが、生産・販売を終了させて頂きました。
ひとことで言うと、どちらもかなりコスト高な商品でして、
これ以上生産を続けるのが難しくなった次第です。

道具入れについては仕様を変えて再リリースすることも検討していますが、現状は未定です。
勝手を申しますが、何卒ご理解の程お願い致します。

ということで、ひさしぶりの工房日誌になりましたが、これからもどうぞよろしくお願い致します。

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Posted on 2014-07-11
豆トートの新色

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 新色の豆トート、いよいよ通販開始します。今回は全7色。深緑やエンジなど、少しアダルトな感じのカラーも登場しています。こちらのページからご注文頂けます。

豆トート説明3トート本体の仕様については、従来のものと同じですが、吊り下げ用の紐が細めの丸紐に変わりました。紐の先もペンダントなどに使われるカニカンという金具のフックに変わり、取り外しが簡単になりました。従来のものよりエレガントな雰囲気と言いますか、よりチャームっぽい感じになったかと思います。

チャームと言えば、どうしても女性がバッグの持ち手に提げているものというイメージがありますが、男性がトートバッグなどに取り付けてもまったくOKだと思います。僕も自分のトートの持ち手にぶら下げてますが、ちょっと楽しい気分になります。

お値段は1個900円。従来のものは800円だったのですが、金具が増えた分、少し値上がりしています。ご了承ください。

お手持ちのバッグにちょっとアクセントを加えたい、というときにぜひご利用頂ければと思います。宜しくお願い致します。

2014年7月11日 金曜日


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