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ネームタグの話


ポール工房のネームタグは切手をモチーフにしています。この絵柄は元々、「サミュエルへの手紙」のロゴとして作ったものですが、自分でもかなり気に入っていて、トートや雑貨などにこういうネームが入っているのもかっこいいと思ったので、デザインを流用することにしました。

元になっている絵柄は僕自身が撮影したいくつかの写真をもとに、画像ソフトのPhotshopで合成しています。
例えば背景になっているのは右の写真。これは新岡山港から小豆島に向かうフェリーの中から撮ったものですね。遠方の陸地は島のように見えますが、実際は岡山市の東区から瀬戸内市にかけての山並み。吉井川の河口あたりからの風景といえば、頷かれる方もいるかもしれません。

ネームの右下にいる真横を向いたカモメも、岡山市内を流れる旭川の岸壁に群れていたユリカモメで、写真の中から佇まいのよい2羽をピックアップしています。これらの写真は、わざわざネーム用に撮影したわけではなくて、たまたま「おお、カモメがいるわい」とシャッターを切っただけなんですが、それがまさか後になって、絵柄に使うことになるとは僕自身も思いませんでした。

この絵柄をネームに仕上げる工程は専門の業者さんにお願いしました。ネームには大きく分けて、柄を刺繍する織りネームと、印刷するプリントネームの2種類がありますが、ここまで複雑な柄だと刺繍はできませんから、プリントネームということになります。

プリントの場合でも、紙と違って布の場合はインクが滲みやすく、細かい文字などは潰れてしまいます。それから紙の場合であれば、黒インク1色だけでグレーのような濃淡が表現できるのですが、ネーム印刷の場合は濃淡が出せない。 そもそも、こういう複雑な柄を布の上に印刷することに無理があり、業者さんからも「やったことがないから、どうなるかわからない」と言われました。

ただ、諦めるにはあまりに惜しいので、黒一色だけで絵柄を再現できるようなデータを作成し、ダメモトで入稿したところ、思った以上に仕上がりが良かったので、GOサインを出したというわけです。ちなみに上の写真は、ネームを拡大した状態。小さな黒い点々の集まりで、絵柄が出来ているのがおわかりになるかと思います。

このあたりのデータ作成も点の数が多ければ全体が黒く潰れ、少なすぎれば染みのようにしか見えず、と試行錯誤したのですが、話が専門的になりますから止めておきましょう。ともあれ、実際の風景をもとにしたネームタグ。もしも新岡山港から小豆島にフェリーで渡ることがあれば、ちょっと思い出して頂ければ幸いです(そのとき、カモメが飛んでいるかどうかは定かではありませんが)。

2013年6月16日 日曜日


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