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マッチ箱特集 Vol.2

9053先日、瀬戸内ブッククルーズの「小さな春の本めぐり」に参加しました。そのときに出店者仲間の「古本斑猫軒」さんが持ってきていたのが上の写真のマッチ箱。

古本斑猫軒さんはオンライン専門の古書店で(リアル店舗はありません)、通常はマッチ箱も販売していないのですが、「ちょっと面白いものが手に入ったので」と出品されたわけです。

僕はどうもマッチ箱を見ると、うずうずと心が疼いてしまう性格で、この日も休憩時間にあれこれと物色。気がつけば15個ぐらい買っていました。そこで今回、どういうマッチ箱を買ったのかご紹介しようと思った次第。ちなみに、Vol.2とあるのは3年ほど前にもマッチ箱特集をしているからですね。

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これはまず「珈琲」の文字にやられました。どうすればこんな大胆な造形を思いつくのか。それでいて反対面は白地の面積を大きく取り、店名は上品に小さく配置。清濁合わせ呑むような、恐るべきバランス感覚です。モノトーンの配色が店名の「白亜」にもマッチしていますね。

 

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かつて京都では有名な喫茶店だったようです。店名が「夜の窓」であれば、つい、「地色は黒で」と考えがちですが、紫にすることで醸し出された、しっとりとした情感。側面の「京宝劇場前を東入るとも申します」という添え書きも実にいい。マッチ箱は、この側面も見所のひとつだと思っています。

 

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60〜70年代のサイケ調の影響を受けていると思われますが、これもかなり大胆なロゴ。ロゴを作った人がマッチ箱もデザインしているのかは不明ながら、「ク」の下部分を側面にはみ出せるという発想にも唸ります。四角四面に収めないことによって、非常に自由な雰囲気が生まれていますね。

 

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地味ながら、これも上手いデザインだなと思いました。ランプを下から見上げる角度にして、左に余白を取る。すると、あたかも店の前にいるような気分になるんですな。裏面にはコーヒー・スパゲッティ・カレーの3文字のみ。多くの言葉はいらない。これだけで店に行きたくなります。

 

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ドライブインもめっきり減りました。徳島のこの施設も既に廃業の様子。ロードサイドに限っていえば、昔の方が華やかだったのでは、とすら感じさせます。マッチ箱だけに残された風景、手の届かない旅情。ただ、裏面の地図はかなり大雑把で、当時にタイムスリップしても辿り着けるか自信がありません。

 

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建物の外観をイラストで起したものも味わいがあって、僕は好きです。このドライブインも丸窓があったりして、往時の流行が偲ばれます。「集会室・御会合室 完備」とありますが、果たしてロードサイドでどんな会合が開かれていたのか。ちょっと気になるところではあります。

 

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小豆島の港にあった喫茶店のようです。名前から察するに、ひょっとするとカーフェリーの就航に合わせて出来たお店なのかも。写真をドンと使っているのもどこか誇らしげ。一方、反対面はチャーミングな手書き。晴れがましいけど、ちょっと照れ臭い。そんな心情まで勝手に読み取ってしまいます。

古本斑猫軒さんのマッチ箱、喫茶店やドライブインなどロードサイド好きの心をくすぐるものが多く、心憎いセレクトでした。ついでにここ数年、他のお店で購入したものもご紹介しましょう。

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ボウリング場のマッチ箱ですね。後に「アイビーボウル」と名前を変えるのですが、その時期に僕は何度かここで遊んだことがあります。客もまばらな中、会社の同僚と一緒に下手の横好きで投げていたら、白髪のダンディな支配人がふらりと現れて「君らにフォームを教えたるわ」と指導してくれました。それから程なくして、このボウリング場も閉鎖。個人的にはそういう思い出が甦るマッチ箱です。

 

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おそらく同じ建物の中に喫茶店と雀荘が同居していたのではないかと思います。サントロペはフランスの地名(Saint-Tropez)にあり、元々は聖トロペという殉教者にちなんでいるらしいです。雀荘に「聖」がつくのは憚られて外したのか。しかし、その場合、店名は「トロペ」となるはずですが、僕はやはり「ロペ」の方が短くて好ましいように思います。ヘビのように鎌首をもたげた「ぺ」の文字が魅力的です。

 

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最後に紹介するのはこちら。標準よりも小さめのマッチ箱ですが、それゆえに品があり、デザイン的にもオーセンティックな雰囲気があります。中箱にもゴールドの箔押しをして、なかなか凝ったつくり。2年前ほどに入手したものですが、僕があれこれといじっているちに、ご覧のとおり、外箱が壊れてしまった。ところが、それが新たな発見を生んだのです。

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なんということでしょうか。外箱の内側にも印刷が施されていたのです。しかも、外面とは反転されたものが。誰にも気付かれないであろう箇所になされたこの印刷、料金だって余計にかかるはずです。じつに粋な遊び心。いや、それだけでは収まりきらない、何か精神の自由さを感じさせます。

ともあれ、今回もポール工房の商品とは関係のない、個人的な趣味の話になりました。たぶん、また懲りずに書くと思います。ご容赦ください。
イベント告知などはFacebookページをメインに行っていますので、こちらをチェック頂ければと思います(ただ、当面はイベント出店の予定はありません)。以上、どうぞ宜しくお願い致します。


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