制作秘話

Posted on 2014-05-20
工房通信の作り方

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Facebookページなどではすでにお知らせしていますが、新たに「工房通信」という小冊子を作りました。ポール工房の広報誌と言いますか、その割には商品の話はほとんどないのですが、中原ポールが個人的に興味を持っている風景やモノを写真付きで紹介したフリーペーパーです。

10264961_240624509462119_4599923372749752086_nA6判の8ページで、自宅のインクジェットプリンタで出力し、僕自身が製本しています。
ポール工房の通販ショップでご注文頂いた方には、商品と一緒に無料で同封しています。

岡山県内の下記の店舗にも置かせて頂いています(在庫切れの際はご容赦ください)。
古書五車堂
ブルーベージュ・カフェ
古本ながいひる
451BOOKS

それから「工房通信のみ欲しい」という方は、ご連絡フォームからお名前とご住所をお知らせください。無料で郵送します。
※お一人様1部限りで、普通郵便でのお届けとなります。尚、予定数量に達したら終了しますのでご了承ください(通販でご注文頂いた方には終了後も同封します)。

「8ページの小冊子って製本が大変じゃないかしら」と思われるかもしれませんが、作り方は意外と簡単なんです。自分でも作りたいという方のために、ちょっとご紹介します。

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A6判の8ページはじつはA4判の表裏と同じ面積なんですね。
そこで上の写真のようにA4用紙の表裏に各ページを面付けするわけです。

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具体的なページの割り付けは上記のとおり(1が表紙で、8が裏表紙)。
こうして面付けしたものをプリンタで両面印刷します。

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出力した用紙を上下で2つ折りにして、さらに左右で折ったところ。
当然ながら、底はまだ繋がったままです。

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製本用のホッチキスで背を留めていきます。
このホッチキスは500〜600円ぐらいで売っていると思います。

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あとは底から1mmぐらいのところにカッターを入れて、ページを切り離します。
小口やてっぺんの部分も切り揃えると、仕上がりがきれいになります。

ご紹介するのも憚られるほど簡単な作り方なんですが、
洋2封筒に入って定形郵便でも送れるので、A6は何かと便利なサイズです。

僕の場合、InDesignというデザインソフトを使っていますが、
手書きで作ってもいいと思います。むしろ手書きの冊子の方が楽しい感じになるかもしれません。
パンフを作ろうとされている方はちょっと検討されてもいいかなと思いますね。

2014年5月20日(火)

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Posted on 2014-03-22
トートの洗濯

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上の写真は僕が使っているカモメトートを洗濯しているところです。

ポール工房の帆布アイテムは基本的に「洗濯はしないでください」と但し書きを入れています。トートの風合いや雰囲気が変わったり、色落ちや縮みも出るため、洗濯は推奨していません。

P3220687_DxOでも、全体的に汚れてきたらどうしても洗いたくなる場合も出てくると思います。そこで失敗しない洗濯方法のご紹介です(トート以外の帆布アイテムも共通です)。

(1)必ず単独での手洗い。
色移りを防ぐため、他の衣類とは分けて単独で洗ってください。これはぜひ守って頂きたいです。特にエンジはよく色落ちしますのでご注意下さい。僕は直径40cmぐらいのプラスチックの桶を使います。

2)中性洗剤で洗う。
洗剤のパッケージに「中性」と書かれているものを使用してください。色落ちの度合いが少ないです。写真には柔軟剤入りのボールドが写ってますが、エマールやアクロンなど普通の中性洗剤の方がいいです。あと、道具入れなどの革紐はあらかじめ外してください。

(3)脱水はしない。
水を切る程度でOK。雑巾みたいにギュッと絞ったりすると、細かいシワが残ります。

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縮みが激しくなるので乾燥機は使わないでください。左の写真のように日陰で干してもらえればと思います(スミマセン、もろに民家の軒先という感じで)。脱水しなくてもこれぐらいのシワはやはり残ります。

(5)生乾きの状態でスチームアイロン。
生地のシワは生乾きの状態でスチームを当てると取りやすいです。あと、一口メモですが、生地を軽くひっぱりながらアイロンを当ててやるのがコツ(強く引っ張らない方がよいです)。

そうやってスチームアイロンを当てて、再び干したのが上右の写真ですね。洗うことで生地の糊が落ちるので、全体的にクタクタな感じになります。あと、取り切れないシワも多少残ります。風合いが変わってくるというのは、このへんも含めての話だとお考えください。僕自身はこういう状態も好きです。

それから生地の縮み具合については、条件によって変わってくるので一概には言えませんが、水に通すだけでも最低3〜4%ぐらいは縮むと想定してください。40cmの長さであれば1.5cmぐらいは縮みます(その後の乾燥具合によってはさらに縮む場合もあります)。

というわけで全体的な注意点は以上なんですが、さらに突っ込んでいうと、

・エンジなどの濃い色は色落ちしやすいため、ネームに色が写ったりする場合があります(何度か洗っていると落ちてはきますが)。

・ブックカバーは縮みにより、入らなくなる文庫が出てきます。縦が17.2cmありますが、5mmぐらい縮むので、ハヤカワ文庫のトールサイズなどは入らなくなる可能性があります。


以上の点をご注意頂いて、帆布ライフをエンジョイ頂ければと思います。

2014年3月22日(土)

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Posted on 2014-03-20
451特製ブックカバーができるまで

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岡山県玉野市にある本のセレクトショップ「451ブックス」さん、今回、このお店の特製ブックカバーを作らせて頂きました。裏面に手彫りのスタンプが押されている、かわいいブックカバーです(451ブックスさんのみでの販売になります)。

451ブックス(岡山県玉野市八浜町見石1607-5:地図

ポール工房のブックカバーをご覧になった451ブックスさんが「特製のブックカバーを作りたい」と言って下さったのがきっかけですが、今回その制作過程を公開したいと思います。以下、順を追って説明していきます。

まず、最初の打ち合わせで「配色はポール工房のブックカバーと同じでOK」ということ、それから「どこかに451という数字のスタンプを入れたい」というご要望を頂きました。

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ロゴの位置ですが、入れるとしたら表紙の右下あたりでしょうね。すでにポール工房のネームがあるので、数字が大きいとゴチャゴチャした感じになります。その点も考慮しながら判面サイズも決めました。上の写真のような感じです。

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ゴム判はこんな感じで僕が手彫りしています。文字を彫るのは難しいです。451の場合は曲線が少ないのでよかった。これが398だったら大変だったかもしれません。ちなみに店名は、レイ・ブラッドベリの小説「華氏451度」にちなんでいます。

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451ブックスさんのマークには本のシルエットが付いています。そのパターンもついでに作ってみました。ポール工房のネームと同居すると、ちょっとくどい感じ。同じ面に図柄が2つあるせいでしょうか。

2案作りましたが、シルエット付きのものはどう見てもくどいので僕の判断でボツにしました。数字バージョンの画像だけを店主さんにメールします。基本的にやりとりはメールでした。

さっそく店主さんから返信を頂きます。

ポール様
さっそくハンコを作っていただきありがとうございます。
頂いた画像の位置、サイズでもかまいませんが、
裏側の中央下付近は如何でしょう?

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写真にすると、こういう感じになりますね。たしかに裏面でもいいのです。むしろ裏面の方がいい。しかし1つ問題があります。

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裏側だと、収納する本の厚みによってロゴが移動するのです。位置が固定されないのはどうもよろしくないのでは、と思いました。その点を店主さんに伝えます。

裏の中央下という位置、僕もいいと思います。ただ、問題は文庫本の厚みによってセンターがずれてくる点ですね。厚さ7mmの本を基準にセンターを決めた場合、厚さ18mmでは左に1cmほど移動します。これが難です。

こういうメールを送りつつ、僕は「表紙にスタンプするのなら、もう少し判面を小さくした方がいいのかしら」と考えていました。どちらにしても裏面に入れることはないだろうと。しかし、次に来た店主さんからのメールに僕は衝撃を受けたのです。

こんにちは。
いろいろとありがとうございます。
後ろだと文字がずれる件。実はそれも楽しいかなと思っています。薄かったり、分厚かったりするとそれに合わせて位置が変わるのが、リアルなブックカバーな感じがしていいのではと。
手作りならでは感もでて、かえって喜んで貰えそうに思うのですが、いかがでしょう?

なんと! ずれるのが楽しいとは!
即座に面白いと思いました。僕にはなかった発想ですが、言われてみるとロゴが常に同じ位置になければいけない理由はありません。むしろ本を読んでいるという実感があります。何よりもこういう自由な考え方こそが451ブックスさんらしい。早速店主さんに返信します。

おお、なるほど、面白いですね! まったくそこに考えが至りませんでしたが、言われてみると、その方が面白いです。位置を固定しなきゃと考えていた僕は頭がカチコチになっていたかもしれません。

共同作業の醍醐味は、こんなふうに自分の中にはなかった視点に出会えることです。さて、裏に押すことが決まりましたが、ふとある考えが浮かびました。「あれが使えるんじゃないか」と。

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そう、いったんはボツにしたシルエット付きの451です。

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左右にずれた場合の画像。数字のみが移動するより、マークがずれた方が愛らしいですね。
再び画像をメールします。

本のシルエット付きのものを実は作っていました。表に押すとくどい感じだったので、ひそかにボツにしたのですが、裏に押すならこれも有りかなと思っています。数字のみの場合よりもスタンプに手作り感はありますが、わざと手作り感を出しているわけではなく、これがほぼ僕の限界です。

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これがその限界のハンコです。わざと手作り感を出すような高度な技はありません。
気に入って下さったらいいが、と思いつつ待っていたところに返信が届きました。


こんばんは〜。 いろいろとありがとうございます。 本のシルエットの手作り感がいいですね。 写真を添付してみました。 文字だけだと下が合うと思うのですが、本の形の場合は中央にあるほうがいいかなと思っています。 お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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おお、確かに真ん中の方が決まります。このあたりに気が回らなかったのは僕の未熟! こういうご指摘はむしろありがたいものです。うん、これで決まりですね。

すっかり長くなりましたが、こうしてデザインが決定しました。つまるところ、「451のスタンプをどこに押すか」というだけの話なんですが、非常にスリリングかつ楽しいやりとりでした。大いに勉強にもなりました。

制作途中でじつは手彫りのスタンプではなく、ロゴデータを支給してもらって、業者さんに機械彫りしてもらおうかとも考えました(大した費用はかからないのです)。そちらの方がたしかにきちんとしたスタンプにはなります。でも結局やめました。

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451ブックスには、店主夫妻がひとつひとつセレクトした本が集まっています。新しい本、古い本、そして全国から集まった手作りのリトルプレス。そうやって作られたお店には、本好きのお客さんたちがやってきて、いつも親密で暖かい空気が流れています。それはちょうどレイ・ブラッドベリが描いた、本の好きな人たちの姿と同じです。

それであればやはりこのブックカバーに押すスタンプは、データから作られた機械彫りのハンコではなく、そのお店を知る人間が直に手彫りした方がいいのでは、と考えたのです。何よりも僕自身がこのお店が好きですから。

3月21日(金)より451ブックスさんで販売しています。どうぞお求め頂ければと思います。

2014年3月20日(木)

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Posted on 2013-12-22
ネームタグ増刷

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一昨年に作ったネームタグが、気がつくと残りわずかになっていたので、新たに発注しました。写真は、その届いたばかりのネーム。ボリュームたっぷりで、これで在庫を気にすることなく、じゃんじゃん作れます。

ネームがなくなっていくのは感慨深いもので、例えばミシン糸やカシメなどは作るものによって使う量が違いますから、なくなっていく速度もまちまちですが、ネームはアイテム1個につき1つだけですから(1つのトートに2つのネームが付くことはありませんので)、「ああ、これだけの数を作ってきたんだな」と、つい、しみじみとしてしまうのです。

じつは次に発注するときには、デザインや印刷色を少し変えようかしらとも考えてもいたのですが、今の版がすっかり目に馴染んでしまったので、現状のままの仕様で印刷をお願いしました。印刷してくださったのは福井県の業者さん。版も保管していてくれたので(2年間は保管してくれます)、じつにスムーズに追加発注できました。

ともあれ、ネームがなくなっていくのも皆様のご愛顧の賜物です。厚くお礼申し上げます。そして、これからもどうぞよろしくお願い致します。

2013年12月22日(日)

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Posted on 2013-11-14
ポールの制作ノート

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これは僕が使っている制作ノートの1ページです。わざわざお見せするほどのものじゃありませんが、制作の一端もわかりますし、そういう方面に興味のある方もいらっしゃるかもしれませんので、ちょっとご紹介しようと思います。

ちなみに上の写真は、制作途中のスタンプを試し押ししているところ。最終的には布でテストしますが、始めの段階では紙に押して雰囲気を確かめています。この段階はフォルムがまだぎこちないです。

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使っているのは無印良品のダブリングノート。表紙がしっかりとした厚紙なのが気に入っています。このノートは2冊目ですね。

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これはスタンプの元になるスケッチ。カモメの写真はけっこう折にふれて撮っているのですが、その写真の中からいくつかのカモメの姿をピックアップして、それを元にスケッチしています。カモメのはずが、鳩になったりカラスになったりしないように気をつけています(下の鳥はちょっと鳩っぽいですが)。

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このあたりは現行のスタンプにかなり近付いていますね。押して確かめては版を削り、それを繰り返して徐々にフォルムを整えているところです。首の角度が意外と難しいですね。ちょっと違うだけで印象が変わります。

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これはご近所トートの1羽バージョンの試行錯誤。最初は3羽を組み合わせる形も考えていましたが、くどいということで最終的には1羽だけに落ち着きました。

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これは打って変わって、名刺のデザインを考えているところです。左側にカモメのシルエットを大きくあしらって、という感じで、ほぼ今の名刺と同じレイアウトですね。
ちなみに下に書いてある文章は映画「アラビアのロレンス」のセリフ。気になったのでメモしました。こういう関係のない落書きもたくさんあります。

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豆トートの寸法を考えているところ。自分にだけわかればいいや、と思って書いてますが、ごちゃごちゃになってくると自分でもわからなくなり、正しい数字を丸で囲んだりしています。最終的には別に寸法図を起こします。

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豆トートのPOPに載せるイラストを描いてますね。こういうものが豆トートの中に収納できますよ、ということでリップクリームとかピルケースとかヘアバンドが見えます。描きかけて止めているのがちらほらありますが。

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これはグループ展を開催したときのメモ書き。納品数量を計算しているところです。下の方にある筆袋は、今販売している文具入れのこと。筆袋というネーミングもどうなのか、と思って考えた挙げ句、最終的に文具入れという名前に落ち着きました。ネーミングも難しいです。

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これは何なのでしょうか。自分でもよく思い出せませんが。描いているうちに興が乗ってきて、塗りつぶしたくなってきたのかもしれません。

というわけで全部が全部、このノートに書いているわけではなくて、ロディアのメモ帳とかそのへんのコピー用紙に走り書きもしていますが、こうやって残しておくと、後で見返したときに何かと役に立つこともありますね。実際、残しておいて良かったと思うことが結構あったりします。手書きノート、おすすめです。

2013年11月14日 木曜日

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Posted on 2013-08-30
シルクスクリーン奮戦記

以前、この工房日誌でブックトートを試作中とお伝えしました。このブックトート、当初からシルクスクリーンで図柄を印刷したいと考えていたのですが、この印刷がどうも思うようにいきません。ちなみに左の写真が、その図柄になります。

これは「Tシャツくんジュニア」というキットを使って、自分で刷っています。僕自身、シルクスクリーンは初めての経験で、最初のうち、版さえ作れたら後はインクを載せてグイッと刷ればいいんじゃないか、と呑気に考えていたのですが、いやいや、そんな簡単なものじゃないよ、ということがだんだんわかってきました。

シルクスクリーンというのは、透過性のあるスクリーンの上からインクを押しつけて布に印刷するわけです。インクの通る部分と通らない部分があって、それで図柄が出来ると。インクの通るべき部分が通らないと掠れてしまいます。

上の写真を見ると、ブラックに比べてレッドの白インクがかなり掠れていますね。これは最初にブラックを刷った後、次にレッドの生地をセッティングして、それから刷っているわけです。時間にすると6〜7分ほどの間隔。このわずかな間にインクが乾いて、スクリーンが目詰まりを起こしているんですね。

目詰まりを起こした箇所は、インクが通らない。それで掠れる。刷った後、版に付いた水性インクを一回一回掃除すれば、こういう目詰まりも起こりにくいらしいのですが、どちらにしても、これはもう少し研究しなきゃイカンな、と。

そういうわけで、しばらくは試行錯誤をすることになりそうです。ブックトート自体は何らかの形で実現したいとは思いますが、こういう状況ですから、今のところ、リリース時期は未定になります。場合によってはシルクスクリーン印刷ではなくなる可能性もあるとご承知おきください。

最初に試作で作ったものは、印刷もかなりきれいに出来たので「こりゃイケるな」と思ったのですが、やはり、1個だけ作って「ふむふむ」と頷いているとイカンのですねえ。何個かまとめて作ろうとしたときに、初めて気付く問題が出てきます。

あと、初めてのことにチャレンジする場合は、じっくり研究する時間がいりますね。いろいろと反省している「西の国から・2013年晩夏」という感じのポール工房です。

2013年8月30日(金)

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Posted on 2013-08-04
母の愛用トート


毎日暑い日が続いていますね。僕のいる岡山市では昨日花火大会があったのですが、大体、この花火大会がある頃が一年で一番暑いです。これを過ぎるとひとつの峠を越えたかなという気分にはなります。それでもまだ暑いですが。皆さんもどうぞお気をつけくださいませ。

さて、上の写真は僕の母が使っているトートです。2年ぐらい前に作ってみたもので、表地が紺色、裏がイエローです。余っていた生地で試しに作ってみたんですが、どうも配色が今ひとつパッとしない。それで売るのは止めにして、母に「これ、使う?」と聞いたら、使うということだったのでプレゼントしたというわけです。

それ以来、ほぼ毎日買い物に行くのに使っているようですね。いつもトートがパンパンになるほど荷物を入れています。使用状況としてはかなり過酷で、もう僕にとっては一種の耐久テストになってます。で、この生地、元はどんな色だったのかというのが右の写真です。

右側の正方形の布が元の紺色です。2年間使い続けると、これだけ変わるんですね。自転車のかごに入れたり出したりしていますから、それで擦れて色が落ちている部分が多いでしょう。ちなみに洗濯したことはないそうです。雨に濡れたり、たまに水に濡らした布で表面を拭いたりはしているみたいですが、それを差し引いてもけっこう色が落ちてますね。

こうなってくると、当初はなんかパッとしないと思っていた配色も急に好ましく思えてきます。できることなら、この味わい深くなった状態で販売したいぐらい。この紺色とイエローのトート、今のところは販売する予定はありませんが、濃いカラーが色落ちしてくるとどういう具合になるのか、一つのご参考になればと思います。

こんな感じで、ポール工房には試作段階で陽の目を見なくなったトートがかなりあります。そういうトートは分解して、他の新しいトートの試作に使ったりします。よほどのことがない限り、余った端切れも捨てたりしませんね。ミシンの糸調子を見るために試し縫いしたり、かなり小さい端切れでも結構使い出があるのです。

2013年8月4日 日曜日

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Posted on 2013-06-16
ネームタグの話


ポール工房のネームタグは切手をモチーフにしています。この絵柄は元々、「サミュエルへの手紙」のロゴとして作ったものですが、自分でもかなり気に入っていて、トートや雑貨などにこういうネームが入っているのもかっこいいと思ったので、デザインを流用することにしました。

元になっている絵柄は僕自身が撮影したいくつかの写真をもとに、画像ソフトのPhotshopで合成しています。
例えば背景になっているのは右の写真。これは新岡山港から小豆島に向かうフェリーの中から撮ったものですね。遠方の陸地は島のように見えますが、実際は岡山市の東区から瀬戸内市にかけての山並み。吉井川の河口あたりからの風景といえば、頷かれる方もいるかもしれません。

ネームの右下にいる真横を向いたカモメも、岡山市内を流れる旭川の岸壁に群れていたユリカモメで、写真の中から佇まいのよい2羽をピックアップしています。これらの写真は、わざわざネーム用に撮影したわけではなくて、たまたま「おお、カモメがいるわい」とシャッターを切っただけなんですが、それがまさか後になって、絵柄に使うことになるとは僕自身も思いませんでした。

この絵柄をネームに仕上げる工程は専門の業者さんにお願いしました。ネームには大きく分けて、柄を刺繍する織りネームと、印刷するプリントネームの2種類がありますが、ここまで複雑な柄だと刺繍はできませんから、プリントネームということになります。

プリントの場合でも、紙と違って布の場合はインクが滲みやすく、細かい文字などは潰れてしまいます。それから紙の場合であれば、黒インク1色だけでグレーのような濃淡が表現できるのですが、ネーム印刷の場合は濃淡が出せない。 そもそも、こういう複雑な柄を布の上に印刷することに無理があり、業者さんからも「やったことがないから、どうなるかわからない」と言われました。

ただ、諦めるにはあまりに惜しいので、黒一色だけで絵柄を再現できるようなデータを作成し、ダメモトで入稿したところ、思った以上に仕上がりが良かったので、GOサインを出したというわけです。ちなみに上の写真は、ネームを拡大した状態。小さな黒い点々の集まりで、絵柄が出来ているのがおわかりになるかと思います。

このあたりのデータ作成も点の数が多ければ全体が黒く潰れ、少なすぎれば染みのようにしか見えず、と試行錯誤したのですが、話が専門的になりますから止めておきましょう。ともあれ、実際の風景をもとにしたネームタグ。もしも新岡山港から小豆島にフェリーで渡ることがあれば、ちょっと思い出して頂ければ幸いです(そのとき、カモメが飛んでいるかどうかは定かではありませんが)。

2013年6月16日 日曜日

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Posted on 2013-06-04
帆布の話

ポール工房で使っている生地は倉敷産の帆布ですが、写真はその倉敷のメーカーさんから取り寄せた11号帆布の生地サンプル。小物などに使われることの多い11号は色数も豊富で、全部で20色あります。このサンプルはなかなか使い勝手が良くて、配色を考えるときには一日中いじったりしています。

じつはトートを作り始めるまで、倉敷が帆布の一大産地だということを知りませんでした。勉強不足も甚だしいのですが、色数が豊富で尚かつ上質な帆布を作っているメーカーさんはないだろうかと調べているうちに、僕の住んでいる岡山市の隣町・倉敷市で、古くから帆布生産を行っていることを知ったのです。まさに灯台もと暗し。

倉敷はデニムも含めて、江戸時代から綿織物がさかんな土地です。その経緯を話し出すと長くなるのでまた別の機会にしますが、古くから続いてきた綿織物のノウハウが残っていて、それが帆布の生産にも活かされているというわけです(勉強不足を反省してかなり調べました)。

このメーカーさんは複数の原糸を一本にしていく「合糸」という工程から手がけています。何本合わせるかで帆布の厚みと号数が決まるのですね。そこから撚りをかけて強くする「撚糸」、タテ糸になる糸を整えてロールに巻いていく「整経」と進み、実際に織り上げていく「製織」を経た後に検反作業と仕上げを行うわけですが、その各工程で熟練した職人さんの目がしっかりと光っています。

例えば整経という巻き取りの工程では、季節や天候によって変わりやすい糸のコンディションを見るために、職人さんが糸に手を添えて確かめるということです。僕も実際にミシンで縫っていてわかるのですが、糸というのは実にその日の湿度の影響を受けやすいもので、乾燥した日と湿度の多い日で設定の微調整が必要になってくるんです。

そうやって作られた生地は、職人さんの目と手を注がれたものならではの丁寧さが感じられます。何と言っても、まず手触りが良いということ。それから生地の目が詰んでいて風合いのある質感を持っていること。これはやはり一本一本の糸が均等になるように、職人さんによって注意深く織られているからだろうと思います。そのような人の目と手をきちんと経てきたモノは、どこか清々しく晴れがましい顔をしている気がします。

この生地、僕の家から倉敷のメーカーさんまで車で4、50分の距離ですので、直接買いに行きます(たまに宅配便で送ってもらうこともあります)。県道児島線という道を車で走っていくのですが、これは昔の金比羅往来という四国の金比羅さんに渡る人たちが通っていた街道が原型になっていて、今でも瀬戸大橋を渡る車が往き来しています。

休憩するほどの距離ではないものの、時間があれば途中のドライブ・インに立ち寄ります。右の写真はそのドライブインのエビフライと牡蠣フライの定食。帆布とまったく関係のない写真で恐縮ですが、じつはこの店に立ち寄るのが僕の密かな楽しみです。今の季節ならアイスコーヒーを飲みながら、四国に向かう車の流れを窓からしばし眺める。そうして往時の金比羅往来に思いをはせ、あたかも街道の茶屋にタイムスリップしたような気分を味わっているのです。

2013年6月4日 火曜日

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