工房日誌

Posted on 2013-08-30
シルクスクリーン奮戦記

以前、この工房日誌でブックトートを試作中とお伝えしました。このブックトート、当初からシルクスクリーンで図柄を印刷したいと考えていたのですが、この印刷がどうも思うようにいきません。ちなみに左の写真が、その図柄になります。

これは「Tシャツくんジュニア」というキットを使って、自分で刷っています。僕自身、シルクスクリーンは初めての経験で、最初のうち、版さえ作れたら後はインクを載せてグイッと刷ればいいんじゃないか、と呑気に考えていたのですが、いやいや、そんな簡単なものじゃないよ、ということがだんだんわかってきました。

シルクスクリーンというのは、透過性のあるスクリーンの上からインクを押しつけて布に印刷するわけです。インクの通る部分と通らない部分があって、それで図柄が出来ると。インクの通るべき部分が通らないと掠れてしまいます。

上の写真を見ると、ブラックに比べてレッドの白インクがかなり掠れていますね。これは最初にブラックを刷った後、次にレッドの生地をセッティングして、それから刷っているわけです。時間にすると6〜7分ほどの間隔。このわずかな間にインクが乾いて、スクリーンが目詰まりを起こしているんですね。

目詰まりを起こした箇所は、インクが通らない。それで掠れる。刷った後、版に付いた水性インクを一回一回掃除すれば、こういう目詰まりも起こりにくいらしいのですが、どちらにしても、これはもう少し研究しなきゃイカンな、と。

そういうわけで、しばらくは試行錯誤をすることになりそうです。ブックトート自体は何らかの形で実現したいとは思いますが、こういう状況ですから、今のところ、リリース時期は未定になります。場合によってはシルクスクリーン印刷ではなくなる可能性もあるとご承知おきください。

最初に試作で作ったものは、印刷もかなりきれいに出来たので「こりゃイケるな」と思ったのですが、やはり、1個だけ作って「ふむふむ」と頷いているとイカンのですねえ。何個かまとめて作ろうとしたときに、初めて気付く問題が出てきます。

あと、初めてのことにチャレンジする場合は、じっくり研究する時間がいりますね。いろいろと反省している「西の国から・2013年晩夏」という感じのポール工房です。

2013年8月30日(金)

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-08-14
切手の話 vol.3 谷内六郎


切手の話、今回は谷内六郎(季節のおもいでシリーズ第1集・2012年発行)です。
最初に言っておくと、僕は谷内六郎の絵はあまり好きじゃなかったんですね。いかにも日本的なノスタルジーという印象で、「どうも甘ったるいな」と思って素通りしていました。今から思えば若かったのかもしれません。

ところがある日郵便局で、たまたまこの切手シートを見かけたとき、ズンと目に飛び込んできた。「お、こうして見ると谷内六郎の絵って、いいな」と。それで思わず買ってしまったわけです。なんて言うのでしょうか。切手のフレームに入ることで、今までと違って見えることがあるのですよ。

じっくりと見ていくと、谷内六郎の絵はけっこう変わっています。左上の「川風の音」では、風の精のようなものが笛を吹きながら飛び、その右の「夜店の思い出」では、膨らんだシャボン玉の中に金魚やヨットが入っている。さらにその下の「霧の中の夢」では、白樺の林の中にいるのはシマウマです。

とくにシマウマは本来アフリカにいるものですからね。それが白樺の林の中にいるというのは、よく考えるとかなり飛躍しています。「いや、そこにシマウマがいるのはマズいんじゃないでしょうか」と口を挟む人がいてもおかしくない。

日本的なノスタルジーだと思っていた絵が、じつはけっこう非現実的だったりする。その点について、橋本治氏は芸術新潮2001年5月号で、「谷内六郎は、本質的にシュールレアリストである」と書いています。

さらに橋本氏はこんな風に書いています。「谷内六郎は、『現実を超えたものが現実の中に収まって、そのまま現実になっている』なのである」と。同時にそれは「日本人が見ようと思えばつい見てしまうような、『当たり前の風景』なのである。だから我々は、空に牛乳瓶があっても驚かない。それを「こう」と指摘されれば驚いて、しかしその実、一向に驚かない」と。

そう言われてみると、たしかに白樺の林にいて欲しいのは、栗毛の馬ではなく、シマウマだという気もしてきます。川辺でせせらぎを聞くとき、そこには風の精が笛を吹いていて欲しい。それはどこか子供っぽい憧憬にも見えますが、ここにあるノスタルジーとは、かつての日本と言うよりも、現実と幻想の境目がなかった子供時代へのノスタルジーなのかもしれません。

ちなみに谷内六郎は「近世駄菓子屋派の巨頭」を目指していたそうです。駄菓子屋派、いい言葉ですね。

この谷内六郎の切手、 去年の発行ですから、郵便局によっては今でも在庫があったりします。80円×10種で1シート。僕も先日、近所の郵便局で見かけて、1シート買い足しました。興味のある方は探してみてください。日本郵政のサイトでも販売しています。

そういうわけで切手商でもないのに、切手の宣伝ばかりしているような気もしますが、「ここちよいもの」展の制作も着々と進んでいます。やっと頂上が見えてきました。まだ全体の半分ほどしか出来ていませんが。まあ、頂上というのは五合目ぐらいから見えてくるものですから。

2013年8月14日 水曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-08-12
ここちよいもの展

来月の9月19日(木)から広島県福山市で開かれる三人展に参加します。今までも色々なイベントに出品させて頂くことはあったのですが、作品展としては中原ポールにとって初参加であります。ちょっと緊張しています。

布・土・紙の三人展「ここちよいもの」
会期:2013年9月19日(木)〜9月29日(日)AM11:00〜PM6:00
場所:大黒ギャラリーくわみつ(広島県福山市大黒町1-1:地図

布・土・紙という異なる素材を扱う三人による展示で、「土」は陶芸のだいまるきみ子さん、「紙」は和紙による作品を手がけている梅田剛嗣さん、そして「布」は私め中原ポールです。展示と共に販売も致します。

そういうわけで会期まで残り1ヶ月と迫り、ポール工房もフル稼働であります。上の写真は出展用の豆トートを縫っているところ。豆トートについては出展に必要な量を作れたので、峠をひとつ越えた気分です。6月ぐらいから作らなきゃ作らなきゃと思いながら、ずっと手を付けられなかったのです。よかった!(いや、安心するにはまだ早い)。

この他には、新色のカモメトートや筆入れ、それからまだ通販していないアイテムも登場予定。ポール工房に関しては新作発表会のような感じです。

ギャラリーのある福山市は鞆の浦が有名ですね。港町として栄えた町並みが今も色濃く残っていて、そぞろ歩きをするのに気持ちの良いところです。鞆の津ミュージアムという美術館もあって、「ここちよいもの」展の会期中にも面白い企画展が開かれているので、合わせてお楽しみ頂ければと思います。

あと、福山駅構内の喫茶店「エスタシオン」の小倉あんトーストもおすすめ。右の写真のとおり、生クリームがたっぷり載っているんですよ。これは小倉あんファンにはたまらんです。

この三人展が終わった後、秋にはまた新色のカモメトートなども通販を開始していく予定です。こちらの方もどうぞお楽しみにして頂ければと思います。ともあれ、今年の夏はポールにとって一番暑い夏です。

2013年8月12日 月曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-08-04
母の愛用トート


毎日暑い日が続いていますね。僕のいる岡山市では昨日花火大会があったのですが、大体、この花火大会がある頃が一年で一番暑いです。これを過ぎるとひとつの峠を越えたかなという気分にはなります。それでもまだ暑いですが。皆さんもどうぞお気をつけくださいませ。

さて、上の写真は僕の母が使っているトートです。2年ぐらい前に作ってみたもので、表地が紺色、裏がイエローです。余っていた生地で試しに作ってみたんですが、どうも配色が今ひとつパッとしない。それで売るのは止めにして、母に「これ、使う?」と聞いたら、使うということだったのでプレゼントしたというわけです。

それ以来、ほぼ毎日買い物に行くのに使っているようですね。いつもトートがパンパンになるほど荷物を入れています。使用状況としてはかなり過酷で、もう僕にとっては一種の耐久テストになってます。で、この生地、元はどんな色だったのかというのが右の写真です。

右側の正方形の布が元の紺色です。2年間使い続けると、これだけ変わるんですね。自転車のかごに入れたり出したりしていますから、それで擦れて色が落ちている部分が多いでしょう。ちなみに洗濯したことはないそうです。雨に濡れたり、たまに水に濡らした布で表面を拭いたりはしているみたいですが、それを差し引いてもけっこう色が落ちてますね。

こうなってくると、当初はなんかパッとしないと思っていた配色も急に好ましく思えてきます。できることなら、この味わい深くなった状態で販売したいぐらい。この紺色とイエローのトート、今のところは販売する予定はありませんが、濃いカラーが色落ちしてくるとどういう具合になるのか、一つのご参考になればと思います。

こんな感じで、ポール工房には試作段階で陽の目を見なくなったトートがかなりあります。そういうトートは分解して、他の新しいトートの試作に使ったりします。よほどのことがない限り、余った端切れも捨てたりしませんね。ミシンの糸調子を見るために試し縫いしたり、かなり小さい端切れでも結構使い出があるのです。

2013年8月4日 日曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-07-28
古書五車堂の切手付き栞

P7269077_DxO

岡山市中区浜にある古書五車堂さんにちょくちょく遊びに行っているのですが、あるとき、ふと五車堂店主から「切手が栞に付いていると面白いね」というアイデアが飛び出し、「じゃあ、ポール工房で作ってみましょうか」ということで作ったのが、上の写真です。

元々、僕も切手を使って何か出来ないか、と考えていたところですから、これも面白がりながら作ることができました。どの切手を貼ろうかと考えるのが悩みつつも、けっこう楽しい作業なんですよ。

この栞は古書五車堂さんで本を1冊購入すると1枚もらえます。3冊買えば3枚です。一枚ごとに切手が違いますから、店頭でお買い上げの場合はお好きな切手の栞を選べます。主にスウェーデン、フィンランド、フランス、ルーマニア、チェコスロバキア、ブルガニアあたりの使用済み切手になります。

ただ、数に限りがございます。上の写真の切手もすでに在庫切れになっている可能性はありますので、その点は予めご了承ください。

この切手付き栞、取り扱いはあくまで古書五車堂さんなのですが、ポール工房もとうとう紙モノに手を出してしまったなあ、と感慨にふけっているところです。元々、僕はグラフィックデザインに関わる仕事をしているので、まんざら畑違いというわけでもないのですが、従来どおり布モノにも精進していく次第でございます。

<2013年8月14日追記>
おかげさまで今回の栞のプレゼントは終了しました。古書五車堂に足を運んで頂いた皆様、どうもありがとうございました。

2013年7月28日 日曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-07-17
豆トート、通販開始!

お待たせしていた豆トートの通販をいよいよ開始しました! マチなし(全10色)とマチ付き(全5色)で販売しています。どちらも1個800円(税込)です(マチ付きの通販は終了しました)

さて、「マチなしかマチ付きか、どちらがいいかしら」とお悩みになるかもしれません。どちらも小物類は収納できますが、写真のようにアクセサリ感覚で使うなら、厚みのないマチなしタイプの方がより軽快な印象になります。

余裕を持って小物類を収納したいという場合なら、マチ付きタイプをおすすめします。どんな選び方をしていて頂いてもいいのですが、迷ったときにはご参考にしてください。

それから、3000円以下の商品については1通あたり280円の特定記録郵便(ポスト投函)でお送りできるようになりました。3000円以下の商品であれば1回のご注文で何個でも280円ですので、こちらの配送方法もご利用頂ければと思います(レターパックプラスやゆうパックもお選び頂けます)。
 
お友達の分もまとめて注文という形もまったくOKです。たくさんのカラーをご用意しましたので、ワクワクしながらお選びください!

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-07-09
切手の話 vol.2 スウェーデンのニルス

すっかり暑くなってきました。こういうときには、涼しげなものを鑑賞するに限ります。というわけで、2回目になる切手の話、今回は北欧スウェーデンの「ニルスのふしぎな旅」です。

この「ニルスのふしぎな旅」は、ニルスという少年がある日、魔法をかけられて体が小さくなり、ガチョウの背中に乗って旅をするという物語で、スウェーデンのノーベル文学賞作家セルマ・ラーゲルレーヴの書いた児童文学です。

ブルーと白の対比がとても美しい切手で、一見、単色で刷られているとは思えないほど。しかも、これは凹版切手です。

凹版切手とは金属板にビュランという彫刻刀で版を彫り、その彫り跡(凹部)にインクを載せて刷られたもの。例えば、この切手の大きさはおよそ3cm×2cmですが、彫られた版も3cm×2cmということです。つまり、凹版切手の場合、我々が目にしているのは印刷された絵柄であると同時に、極小の面積に彫られたビュランの跡でもあるんですね。

右の写真はルーペによる拡大図ですが、ニルスの顔の部分はたかだか2mm平方。これだけの面積の中で、ニルスの得意気でありながら、旅する者の一抹の孤独感までもがビュランで表現されていることに、僕は驚きます。この切手の彫版師はチェスラフ・スラニア。ポーランド生まれですが、スウェーデン郵政を中心に活躍した凹版切手界のスーパースターです。

改めて見ると、ガチョウは筋肉隆々でかなりマッチョですね。そしてブルーのインクは青空というより、どこか夜を思わせます。清々しい反面、全体的に淋しげな雰囲気があって、そのあたりも僕の好きなところ。ちなみに右下に書かれている「SVERIGE」はスウェーデン語による国名表記です。

これだけ猛暑が続くとですね、僕もガチョウの背中に乗って、どこか旅したいという気持ちもしないではないですが、これは小さな子供だからサマになるのであって、四十歳を越えたおじさんがガチョウの背中に乗っているのはいかがなものかと。そもそも僕は高所恐怖症なんですね。たぶん、そうなったら泣きながらガチョウの背中にしがみついていると思います。

2013年7月9日火曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-07-02
今後のリリース予定〈2013年7月〉

「まめ・まめ展」や「山陽学園ブックトレード」などで販売してきた豆トート、今月中旬にこのサイトで通販開始予定です。 写真はマチなしの豆トートで、全10色のリリース。また、写真はまだありませんがマチ付きも5色で販売。どちらも予定価格は1個800円です(マチ付き豆トートの通販は終了しました。)

マチ付きのトートは今まで販売したものとは一部仕様が変更になります。過去の仕様は縫製が非常に難しく、量産するのが厳しい上、息を詰めて縫うあまり酸欠状態になっていました。これは作っている最中にいつか倒れると思ったので、作り方を見直し、それによってデザインも少し変わる方向です。この点、ご理解頂ければと思います。

それからもう一つ、7月リリースにはなりませんが、小ぶりなブックトートも試作中。これはマチも内ポケットもない、非常にシンプルなトートです。本一冊とノート一冊、それにペンケースが入るぐらいの容量で、大した荷物じゃないんだけど、何か入れる袋がないかというときに、「ああ、ポール工房のブックトートがあるじゃないか」と使ってもらえる、そういうトートを目指してます。

というわけで今後のリリースにもご期待ください。宜しくお願い致します。

2013年7月2日 火曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-06-24
切手の話 vol.1 マカオの切手

僕も小学生ぐらいの頃には切手を集めたりしていたのですが(当時は切手ブームだったのです)、中学に入る頃から熱は冷め、きれいだなと思う切手が目の前を通り過ぎても、特に自分で集めようと思わずにこの歳に至りました。

しかし、Letters to Samuelというレーベル名で「手紙」をコンセプトにしながら、切手や郵便のことにまったく無頓着なのもいかがなものか。そう考えていた矢先、書店で手に取ったのが加藤郁美さんの『切手帖とピンセット』でした。

この本、きれいな切手や愛らしい切手がたくさん載ってるんですね。その後、切手に詳しい方から話を聞いたり、切手の会に参加する機会があって、どんどん切手熱が燃えさかり、とうとう何十年ぶりかに自分でも集め出したというわけです。

その集めた中からいくつか紹介していこうと思うのですが、最初に言っておきますと、このとおり素人ですから正当な切手の解説などはできません。ただ、取りあげた切手について僕の思うところを述べるという感じになります。そういうおつもりでお付き合い頂ければと思います。

今回、取りあげるのは1991年のマカオの切手です。マカオの職業を紹介したシリーズなんですが、上の写真は占い師。まず何よりも、このイラストが味わい深い。たぶん男性が占い師で、女性がお客さんなんでしょう。肩の力が抜けた女性のポーズを見ると、あまり深刻な相談内容ではないという気がします。占い師の方もリラックスした感じですが、それでいて身を乗り出して耳を傾けている様子が窺えます。ちなみに壁に貼られた手相図には感情線が描かれてないですね。何か理由があるんでしょうか。

右はどうやら理髪師のようです。僕は中国語はまったくわかりませんが、「街道剪髪佬」と書いているところを見ると、たぶん街路脇でこうして営業しているんでしょう。このイラストも子供が足をぶらんとさせたまま、うなだれて髪を刈ってもらっている様子が非常に愛らしい。このイラスト、エミリオ・セルバンテスさんというマカオ生まれの画家の方が書いているんですが、マカオの街の臨場感がとてもよく伝わってきます。

マカオは1999年までポルトガル領だったので、91年のこの当時の切手には「REPUBLICA PORTUGUESA」(ポルトガル共和国)という表示が入ってます。「澳門」はマカオの漢字表記ですね。

色々調べてみると、マカオは住民自治が進んでいたために、ポルトガルは早い段階から植民地支配を放棄しており、中国政府に返還したがっていたらしいのですが、むしろ中国側からの要請で香港と同時期の返還になったようです。こうやって芋づる式にあれこれとわかってくるのも切手の面白いところです。

ということで、この切手の話は今後シリーズ化していくつもりです。「ポール工房の話と関係ないじゃない」と言われたらそれまでなのですが、うーん、何と言いますかね、息抜きとでもいいましょうか。何よりも、僕自身が切手の話をしたいので、宜しくお付き合いお願いします。

2013年6月24日 月曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

Posted on 2013-06-16
ネームタグの話


ポール工房のネームタグは切手をモチーフにしています。この絵柄は元々、「サミュエルへの手紙」のロゴとして作ったものですが、自分でもかなり気に入っていて、トートや雑貨などにこういうネームが入っているのもかっこいいと思ったので、デザインを流用することにしました。

元になっている絵柄は僕自身が撮影したいくつかの写真をもとに、画像ソフトのPhotshopで合成しています。
例えば背景になっているのは右の写真。これは新岡山港から小豆島に向かうフェリーの中から撮ったものですね。遠方の陸地は島のように見えますが、実際は岡山市の東区から瀬戸内市にかけての山並み。吉井川の河口あたりからの風景といえば、頷かれる方もいるかもしれません。

ネームの右下にいる真横を向いたカモメも、岡山市内を流れる旭川の岸壁に群れていたユリカモメで、写真の中から佇まいのよい2羽をピックアップしています。これらの写真は、わざわざネーム用に撮影したわけではなくて、たまたま「おお、カモメがいるわい」とシャッターを切っただけなんですが、それがまさか後になって、絵柄に使うことになるとは僕自身も思いませんでした。

この絵柄をネームに仕上げる工程は専門の業者さんにお願いしました。ネームには大きく分けて、柄を刺繍する織りネームと、印刷するプリントネームの2種類がありますが、ここまで複雑な柄だと刺繍はできませんから、プリントネームということになります。

プリントの場合でも、紙と違って布の場合はインクが滲みやすく、細かい文字などは潰れてしまいます。それから紙の場合であれば、黒インク1色だけでグレーのような濃淡が表現できるのですが、ネーム印刷の場合は濃淡が出せない。 そもそも、こういう複雑な柄を布の上に印刷することに無理があり、業者さんからも「やったことがないから、どうなるかわからない」と言われました。

ただ、諦めるにはあまりに惜しいので、黒一色だけで絵柄を再現できるようなデータを作成し、ダメモトで入稿したところ、思った以上に仕上がりが良かったので、GOサインを出したというわけです。ちなみに上の写真は、ネームを拡大した状態。小さな黒い点々の集まりで、絵柄が出来ているのがおわかりになるかと思います。

このあたりのデータ作成も点の数が多ければ全体が黒く潰れ、少なすぎれば染みのようにしか見えず、と試行錯誤したのですが、話が専門的になりますから止めておきましょう。ともあれ、実際の風景をもとにしたネームタグ。もしも新岡山港から小豆島にフェリーで渡ることがあれば、ちょっと思い出して頂ければ幸いです(そのとき、カモメが飛んでいるかどうかは定かではありませんが)。

2013年6月16日 日曜日

RSS Feed  Tags:,
Posted in 工房日誌 | Comments Closed

 

4 / 512345