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我々は間違えることしかできない

親愛なるサムへ
我々は間違えることしかできない。どんなに正しい選択を行ったつもりでも、どれほど自分の正しさを力説しても、あのときあの場面での自分のふるまいを後悔しても、後悔しなくても、たぶん我々はどちらにしても間違えることしかできない。疑り深い注意力も、慎重な事前のリサーチも、事後の巧妙な言い訳も、誤った道すがらに咲く徒花。所詮正しい選択などは初めからできなかった。そして、これが一番言いたいことなのだが、そのことは少しも悪いことではない。
ああ、断っておくが、この「我々は間違えることしかできない」というテーゼは、もちろん「我々の選択は常に正しい」と言い換えることができる。あるいはジャン・コクトーのように「我々には初めから選択の余地などない」と言うこともできる。そういう言い方のほうが胸にしっくりとくるならば。
36歳にして啓いた悟りが、まさかこんなことだったとは。少しがっかりだな、サム。でも、たぶん本当のことだよ(少なくとも僕にとっては)。

ひさしぶりの手紙を書いた。今度はいつ書くかわからない。
2005/7/21 Thursday

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